野村萬斎、『鬼滅の刃』能狂言化で「水の呼吸などの演出が悩ましい」 「能狂言『鬼滅の刃』」制作発表会

野村萬斎、『鬼滅の刃』能狂言化で「水の呼吸などの演出が悩ましい」 「能狂言『鬼滅の刃』」制作発表会

人気漫画『鬼滅の刃』の能狂言公演「能狂言『鬼滅の刃』」の制作発表会が5日、都内で開催され、出演キャストの能楽師の大槻文藏、野村萬斎、大槻裕一、補綴(ほてつ)を担当する木ノ下裕一が出席。ストーリーは原作コミック第6巻「那田蜘蛛山編」まで描くことが発表され、作品への思いを語った。

 すでに発表されているスタッフ情報は補綴(脚本制作)を木ノ下裕一、監修を人間国宝の大槻文藏が担当。キャストはシテ方・大槻文藏(下弦の伍・累役)、大槻裕一(竈門炭治郎役、竈門禰豆子役)、狂言方・野村萬斎(鬼舞辻無惨役、竈門炭十郎役、天王寺松右衛門役)、野村裕基(我妻善逸役)、野村太一郎(嘴平伊之助役、鋼鐵塚蛍役)、ワキ方(交互出演)・福王和幸(冨岡義勇役)、福王知登(冨岡義勇役)が出演する。

 冒頭のあいさつで萬斎は「きょうは鬼舞辻無惨の白い帽子のイメージで、白い着物を着ました」と気合い十分な様子。

 原作漫画を読んだ感想を聞かれると「鋭い絵のすばらしさが目に飛び込んで来た。そこに描かれたストーリーが日本的なものがあり、鬼が主題となっているので、能狂言の世界に近いなと言う印象でした」と告白。

 出演だけでなく演出も担当する萬斎は「能狂言の手法でお見せしたい。ただ、それだけで収まる世界観ではないので、能狂言を見られてきた人には珍しいと感じる演出もしますし、見どころは“見立て”ですね。例えばこの扇が剣になったりもする。(観客の)想像力に訴えていくものになるのかなと思います」とし、「(能狂言と鬼滅の刃の)世界観は親和性が近しいものがあるので、ほかのジャンルとは違う見せ方でお届けしたい」と意気込んだ。

 また、「水の呼吸ではいろんな型があるので、(表現が)悩ましいところ。CGを使えば何でもできるのですが、そこは、みなさんで知恵を出し合いながら『鬼滅の刃』の世界観を作り上げていきたい。裕一君のような若い世代が体現してくれるのではないかと期待しております」と伝えた。