●記事内容:鬼滅の刃
華々しい数字の話題に加え、『鬼滅の刃』の米国での大ヒットは、近年ますます人気が広がっている日本アニメの世界での立ち位置にも変化を与えそうだ。『鬼滅の刃』ヒットの実績をもとに、さらに日本のアニメが海外を目指すことも出来る。
遡れば2010年代以降の日本アニメの人気拡大は、NetflixやAmazonプライム ビデオといった映像プラットフォームの急激な普及に理由がある。実は日本アニメは2000年代半ば頃、海外でのTV放送が減少し、映像ソフトの売上げが急降下するなど、必ずしも順風ではなかった。
なかでも大手映画会社の市場支配力が強く、伝統的なビジネスが優先される映画興行は、日本アニメが最も参入し難い市場だった。日本でヒットしたアニメでもヒットにつながらない。それ以前に作品公開が少なく、仮に公開されたとしてもスクリーン数は少なく、上映期間も極めて短いケースがほとんどだからだ。
ではなぜ今回『鬼滅の刃』は、その壁を突き崩したのか。
ひとつは映画配給を担当した「ファニメーション」という企業の存在だ。1994年に日本アニメ専門の配給・ライセンス会社としてテキサスで設立された同社は長年、独立系の日本アニメ会社として経営されてきた。それが2017年にソニー・ピクチャーズに買収され、傘下に入った。ハリウッド大手映画会社の一角であるソニー・ピクチャーズのサポートは少なくない効果を発揮しただろう。
そもそも米国の映画配給の多くは、大手映画会社の事業である。このため劇場上映される作品の決定や力の入れ具合は大手映画会社の意向に左右されがちだ。自社利益を目指す映画会社は自社製作の映画配給を優先する。日本の製作会社が作ったアニメを積極的に取り上げる理由はない。
『鬼滅の刃』の製作は日本のアニプレックスが中心だ。そしてアニプレックスは国内ソニーミュージックの子会社である。つまり『鬼滅の刃』は製作と配給が共にソニーグループにあり、そのヒットは製作面でも配給面でも自社の利益になる。
ソニーグループの、映画部門と音楽部門は共同企画・事業はあまりみられず、商品流通も別々とこれまで距離感があった。それが近年、エンタテインメント部門で連携強化が進んでいる。なかでも海外の日本アニメ事業は、連携の象徴になっている。
アニプレックスとソニー・ピクチャーズは共同出資のファニメーション・グローバルを設立し、その傘下にファニメーションをはじめとする世界各国のアニメ事業会社をまとめる。今回の配給もファニメーションとアニプレックスの共同配給のかたちだ。
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/3a657b195b3609e4fa01448b973af403aa4a1a9e
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